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事件概要
よくあるケースです。
離婚して、所有者である元旦那が家を出て、元妻と子供が家に住み続ける。
最初は妻が賃料を払うと口約束するのだけれど、いつしか家賃は滞る。
賃料をアテにしていた元旦那は、ローンの返済が滞る。
それもそのはず、元旦那からしたら、もはや自分の住んでる家でもないし、金に困ったら支払いの優先順位は下がる。
結果的に、差し押さえ、そして競売。
でも、元旦那からすれば、借金だけなくなってラッキー、くらいかもしれない。
いずれにせよ、口約束で賃貸借契約するのは避けましょうねというのがこの記事の1つ目の論点。
あと、気になるのは、土地所有者の話。

これ、いわゆる所有権留保にあたらないかなぁ、というのが2つ目の論点。
賃貸借契約は口約束でも有効か?
一つ目の論点については、結論だけで良いですかね。
有効です。
ただし、実務上は、必ず賃貸借契約書を作成した方が良いでしょう。
後になって揉めますからね。
・・・終わりかい!
って感じですが、気になる人は、諾成契約と要物契約というキーワードで調べてみるとより理解が深まると思います。
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所有権留保の禁止
問題はこっちですよ。
そもそも、所有権留保とは何か?
AさんがBさんから時計を分割払いで購入するとします。
ところがBさんは、Aさんが借金を抱えていることを知っていて、代金を全額支払えるか心配です。
そこで、二人は話し合って、Bさんは時計はAさんに渡すんだけれども、Aさんが代金を全部支払うまで、時計の所有権はBさんにあることにしよう、と約束しました。
このように、物件の引き渡しが済んでいるのに、所有権を売主側に残すことを、所有権留保といいます。
で、ここから大事なのですが、宅地建物取引業法 第43条で「所有権留保等の禁止」が定められています。
ざっくりいうと、宅建業者が自ら売主のとき、買主が代金の10分の3以上を支払っているならば、所有権留保できないのです。
で、今回のケースですけど、なんとも複雑。
売主の「土地の売却代金を完済するまでは、賃貸借として扱う」という内容の合意は果たして有効なのか???
さらに、金額についても、売主と買主で見解に相違があります。

売主の陳述を元に計算すると、50万円×3年間=150万円支払っていることになりますので、
150万円 ÷ 390万円 = 38%

しかし、買主がの陳述を元に計算すると
100万円 ÷ 390万円 = 26%
むむむ!
どちらの陳述が正しいかで10分の3を超えるかどうかが変わってきてしまうじゃありませんか!
しかも、お互いに自分が不利になる方に陳述しているという・・・
何れにせよ、買主に不利な特約は無効になるんじゃないかと思いますね。
あ、これは、あくまでも、売主が宅建業者の場合です!
今回のケースで、登場人物たちが宅建業者であるかどうかを調べていないので、分かりません。
契約は法律行為!法律は知らなかったでは済まされない
まぁ、とにかくですね、言いたいこと

賃貸借契約を口約束で済ましたり、もし宅建業者なら違法であるような買主に不利な特約の売買を受け入れたり、今回の所有者は全体的に甘い!甘すぎる!
賃貸借契約にせよ、売買契約にせよ、契約は法律行為です。
法律について、知らなかったは通用しません。
- 大事な契約は、必ず書類を残すこと
- 普通じゃない特約には、気をつけて、契約を結ぶ前に確認すること
この記事を読んでもらった人には絶対に気をつけていただきたいです。
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