スポンサードサーチ
事件概要①
同じ日に失踪関連の事件が2つ公開されました。

私は本件土地建物を所有しているBの婚約者です。
Bは長期不在の状態です。
私は平成31年4月ころ以降、Bの婚約者として本件建物に居住しています。私とBの間で建物賃貸借契約はありません。
令和元年5月ころ以降、本件建物の屋内で小型犬1匹を飼っています。

婚約した状態で、相手を置いて長期不在とは…
それで競売になってしまうのだから、残された婚約者はかわいそうだなぁ。
事件概要②

私は、本件所有者であるBの妻です。
物件3建物には、私と子ども3人が居住しています。
所有者はこの建物で同居していましたが、昨年の2月6日ころから所在不明になり、現在も連絡が取れない状態です。
何も言わず急にいなくなったので、この建物の使用に関する取り決めや賃料のやり取りはありません。
こちらの事件では、失踪の具体的な日付が記載されていました。
この件をツイートしたところ、フォロワーの一人から非常に興味深い指摘がありました。

調べてみると、この日は日経平均株価が一時1600円安、ビットコインは前日より20万円も値下がりしたという投資家にとって苦い1日だったようです。
この所有者の事情はわかりませんが、この大暴落の影響も否定できないと思います。
スポンサードサーチ
失踪宣告とは?
とうことで、1日に2件の失踪が出てくるという珍しい日でした。
そこで、今日は法律上の失踪について、少し深掘りしてみることにしました。
まず、取り上げたいのは失踪宣告という制度です。
失踪宣告とは、失踪した人を『死亡したものとみなす』民法上の制度です。

なぜこのような制度が必要かというと、いつまでも失踪したままだと、生命保険の受け取り、財産の相続、配偶者の再婚などができず、不都合が生じるためです。
ちょっと残酷に感じるかもしれませんが、ある意味、社会の安定のための制度なのです。
失踪宣告には『普通失踪』と『特別失踪』の2種類があります。
特別失踪は『戦争』『船の沈没』『災害』などの危難に遭ったケースで、それ以外は普通失踪になります。
失踪期間の要件を満たしてから、法律上の利害関係者が家庭裁判所に請求して、失踪宣告をしてもらいます。
失踪宣告のための失踪期間の要件はそれぞれ異なり、
- 普通失踪:失踪から7年
- 特別失踪:危難が去って1年
です。
そして裁判所が失踪宣告をしたときの効果、つまり『いつから死亡したとみなすか』は、普通失踪と特別失踪で微妙に異なります。
- 普通失踪:失踪から7年後
- 特別失踪:危難が去ったとき

普通失踪した場合(例えば旦那がフラフラ出て行ったとき)、失踪した日に死亡したとは考えにくいから7年待つ。
特別失踪の場合(例えば大地震など)、その危難で死亡したと考えるわけだから、1年待たずに死亡したとみなす。
競売と失踪
不動産競売に限らず、動産や債権の差押えなどの強制執行の可能性が出てきたときに、失踪するのは不利になるということを覚えておいた方がいいと思います。
強制執行は、債権者の権利を行使するために裁判所が手助けする制度ですが、債務者に不当な損害が出ないよう、しっかりと両者の言い分を聞くようになっています。
したがって、債務者にも必ず異議を申し立てるチャンスがあります。
しかし、失踪したり、居留守を使ったり、郵便物をきちんと確認しなかったりすると、債権者の申し立てた通りに強制執行が進んでいきます。
仮に、債権者の申し立てに誤りがあっても、です。
したがって債務者は、裁判所からの手紙にはきちんと目を通して、必要以上に多くの請求をされていないか確認することが重要です。
コメント
[…] […]