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事件概要
相続=争族とはよく言ったもので、身近であるほどよく争うものです。
私は債務者兼所有者の兄です。
本件建物には、私と債務者兼所有者の2人で住んでいます。
私は1階部分に居住しており、債務者兼所有者は2階部分に居住しています。
水回りは供用です。
それぞれの居住部分で鍵はかかりません。
なるほど、兄弟の二人暮らしであると。
大抵、こういう物件は相続であることが多いのですが…
本件土地建物の前所有者Cは、私達兄弟のおばであり、同人に子供がいないので、私たちが養子縁組をしていました。
平成23年11月22日に、本件土地建物が同人(おば)から債務者兼所有者(弟)へ贈与されていますが、この贈与は、同人の認知症が進んでいることを利用して債務者兼所有者が勝手に行ったものです。
相続の関係でおじ・おばの養子縁組になるということは、よくあることのようですが、この陳述の『認知症を利用して勝手に贈与』という部分はちょっと穏やかではありません。
この記事では、この不動産と兄弟を巡る争族ドラマから、いつか役に立つかもしれない法律知識をちょっとだけご紹介します。
養子縁組が相続対策になるって?
今回のケースのように、子供がいなく、財産がある場合、財産を相続して欲しい人を養子縁組するという方法が採られることがあります。
養子縁組には普通養子と特別養子の2種類ありますが、ざっくりと違いを説明すると、こんな感じです。
- 普通養子:実の親との関係が継続する
- 特別養子:実の親との関係が解消される
特別養子は、虐待などのあった場合に用いられる制度で、元の親子の関係を断ち切って新しい親の元で生活するために行われるもので、今回のケースとは毛色の異なるものです。
そして、今回の事件では、普通養子によって、この兄弟はおばと法律上において実の親子のような関係になったわけです。
前所有者のおばさんからすれば、配偶者や子供がいないので、可愛い甥っ子達に財産を残してあげられるというのは良い話ですし、兄弟にしても実の親との関係が変わるわけではないですから、デメリットもほとんどないわけです。
ただし、誰でも養子縁組できるかというとそうではなく、年齢等の条件がありますので、検討される場合はしっかりと確認しましょう。
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離縁とは?
その後、本件土地建物は、債務者兼所有者の借金返済のため、何度か担保に出されたりしてきました。
債務者兼所有者は、借金返済を苦にしてか行方不明になったりしたことがあり、素行の悪さから、平成26年11月頃に、おばと離縁させました。
離縁とは、養子縁組を解消することです。
普通養子では、原則自由に離縁することができ、当事者の合意や、裁判所の判決を元に、養子離縁届を役所に提出すればできます。
特別養子は、子供の利益のために行った養子縁組なので、特別な事情(養親に虐待を受けた)がないと離縁できません。
今回のケースでは、兄の陳述からもわかるように、弟とおばの間の養子縁組が離縁されています。
このことによって、弟はおばから相続する権利を失ったことになります。
贈与の取り消しとは?
今年の2月頃、おばが亡くなりました。
それまでの経緯から、債務者兼所有者への贈与を取り消して、私名義に相続登記をする積もりでしたが、財務省の滞納処分による差押登記がなされていたりしたていたため、私への相続登記をあきらめた次第です。
登記はあきらめましたが、以来、私の所有と考えて使用してます。
兄の陳述に、今回の物件のおばから弟への贈与を取り消そうとしたとあります。
贈与の取り消しとは、贈与契約を初めに遡って無効にする、ということです。
つまり、贈与の取り消しが認められると、土地建物は、初めからおばから弟に所有権が移っていなかった、となるわけです。
で、弟は離縁していますから、相続する権利はなく、この土地建物は兄のものになるわけです。
書面によらない贈与は忘恩行為による取り消しが認められます。
忘恩行為とは、文字通り『著しい恩に背く行為』です。
お兄さんのこれまで陳述から、おそらく忘恩行為に基づいて贈与契約の取り消しを求めた訴訟等をしたのではないかと思います。
おばさんが住んでいるのに物件を担保に出す、行方不明になる、素行不良、こういった行為は忘恩行為にあたるのかもしれません。
あるいは、おばさんは認知症が進んでいたので、制限行為能力者による契約ということで無効を主張したのかもしれません。
そんなこんなで、兄はこの物件を自分のものと考えて、弟が住むときにも家賃を要求したようです。
債務者兼所有者は、平成27年1月頃に、住むところがないから家賃を払うので住まわせて欲しいと言って帰ってきました。当時、おばは入院して私1人で住んでいましたが、やむを得ず住まわせることにしました。
実際、家賃は1回も払ったことはありません。
仕方なく、無償で2階を使わせています。
さすが、この弟は家賃は払いませんwww
期待を裏切りませんね。
家賃は決まった額は払っていませんが、家賃代わりに本件建物の電気代を支払っています。多い時は2万円位払います。
とはいえ、弟は家賃代わりに電気代を払っている、と陳述しているので、弟も贈与の取り消しを認めているように読めます。
自分の家に家賃払わないもんね。
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弟はなんと言っている???
ここまで兄の陳述を聞いてきましたので、弟の陳述も聞いてみなくては公平ではありませんが…
本件土地建物の所有権の移転登記の状況や経緯は、兄のAが述べたとおりです。
認めたwww
ところが、弟はちょっとだけ反撃します。
私が本件建物に住むようになったのは、父から、本件建物に兄を1人で住まわせると汚くしてしまうので、汚くさせないために一緒に住んでくれと言われたからです。
で、見てみると、確かに兄の住んでいる1階や水回りは汚く、弟の暮らしている2階は非常に綺麗に見えます。
兄の暮らす1階と洗面所。汚い。
一方で、弟の暮らす2階はとても綺麗。
『しっかり者のお兄さん』をやっている兄からしたら、お父さんにこんな風に思われていると知られたくなかったのかもしれませんね。
ま、部屋の整理整頓以外の面では弟の方が圧倒的にだらしないですがwww
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