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事件概要
朝鮮総連(在日本朝鮮人総聯合会)関係の物件です。
朝鮮総連といえば、本部ビルについても競売されたことがありましたね。
こちらは何度もニュースに取り上げられるような大騒動でした。
しかも、国会議員、元公安長官、政府関係者が絡む壮大なドラマ。
改めて読んでみても、すごい話です。

今回は出雲支部のビルなのでそこまで大きな騒動となることはないのではないかと思いますが、政治的関心を集めてもおかしくない物件です。
この建物は元々銀行であったものを改装して、交流や学習、福利厚生の施設として多目的に使っていたり、関連会社の事務所として使用したりしているようです。





この記事では、朝鮮総連についてはそこまで触れませんが、陳述書に登場する『権利能力なき社団』という概念についてまとめてみたいと思います。
権利能力なき社団とは?
この競売について理解するためには『権利能力なき社団』(略して権能なき社団)という概念について理解する必要があるかと思います。
まずは定義の確認から。
権利能力なき社団(けんりのうりょくなきしゃだん、英語: Association without rights、ドイツ語: nichtrechtsfähiger Verein)とは、社団としての実質を備えていながら法令上の要件を満たさないために法人としての登記ができないか、これを行っていないために法人格を有しない社団。ドイツ法や日本法における概念。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%A9%E5%88%A9%E8%83%BD%E5%8A%9B%E3%81%AA%E3%81%8D%E7%A4%BE%E5%9B%A3
典型的なものとしては、設立登記前の会社や入会集団(入会団体)などがある。
身近な例で言うと、町内会、趣味のサークルなどがあります。
皆さんも一つくらいは所属しているものがあるかもしれません。
実は、この権利能力なき社団は、その名の通り、法律上は権利や能力がないと判断されます。
つまり、法律行為(契約)の主体になれないのです。
これは由々しき問題です。
なぜならば、我々の生活は、契約行為のオンパレードなのです。
例えば、テニスサークルの活動のため、会費を使ってボールを買ったり、テニスコートの予約をしたりしますよね。
権利能力なき社団は、このような行為の主体となることが出来ないのです。
従って、ボールの所有権も認められません。
え、じゃあ、買ったボールは誰のものなの???
答えは『総有』つまり『団体のメンバーみんなのもの』です。
テニスサークルのボール程度ならまだいいんです。
問題は、登記が必要な不動産などを取得した場合です。
メンバーの総有ですから、持分を決めて、みんなの名前で登記しなくてはいけません。
あるいは、代表者個人の名義として登記するということも多いようです。
ただし、いずれにせよ、メンバーの増減や代表者変更のたびに登記しないといけないので、それはそれで面倒なことです。
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このビルの所有者は誰?
このような権利能力なき社団の原則を押さえた上で、このビルの所有権について確認してみましょう。
所有名義について、登記と関係者の主張と裁判所の認定にズレがあります。
登記上の所有者
共有者ら4人
関係者の主張
在日本朝鮮人総聯合会出雲支部の構成員らの総有
裁判手続きにおける総有権の認定・判断
在日本朝鮮人総聯合会島根県本部の構成員らの総有
なるほど、関係者らは、登記上は便宜的に4人の共有ということにしているが、実際には朝鮮総連の出雲支部の構成員らの総有と考えているようです。
ところが、資料の中に次のような記述があります。

この『出雲支部はそもそも権利能力なき社団に当たらず』というのがよく分かりませんよね。
この点に関しては、資料を入手することが出来なかったので、詳しいことには触れられませんが、もしかしたら昭和39年の判例による権利能力なき社団の成立要件が参考になるかもしれません。
団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、しかしてその組織によつて代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならない
裁判所の判断として、出雲支部はこの条件を満たさず、島根県本部のもの、つまりその構成員の総有である、と判断したのかもしれません。
この点について、詳細がわかれば、追って報告したいと思いますが、今回の記事ではこのあたりにしておこうと思います。
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