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事件概要
使用貸借を巡る、良い事例になるかと思って取り上げました。

本件土地の西側一部は、隣地の共有者であるAさんが比叡山からもらった桜の木をはじめ、花等を植えています。もちろん、使用料等はもらっていません。
近所に住むAさんに、本件土地を売る話になりましたが、担保権者の了解が得られませんでした。

本件土地の西側一部に大切な桜の木をはじめ、お花を植えたりしています。
桜の木を植えた時期はあまり覚えていませんが、約10年位前だと思います。
当初、本件土地を分筆して売ってもらうという話で始まったのですが、親族からいっそ本件土地一筆全部を買った方が良いと助言されて、その気になって話を進めていたのに、このようなこと(競売)になり、債務者代表者には怒りを隠せません。
桜の木等を撤去しろと言われても本当に困ります。

占有取得時は無権限であったと思われるが、関係人の陳述によれば、(売買を前提として)事後承認されており、占有を許容しているものと見られるので、上記のとおり「使用借権」と認定した。
使用貸借している土地が競売されたら大切な桜の木は?
使用貸借というのは、今回の事件のように『無償で貸し借りすること』です。
以前、競売における使用貸借と賃貸借の違いについてまとめた記事を書いています。
ここでもまとめた通り、使用貸借の借主はかなり弱い立場にあります。
落札した買受人に『出て行ってくれ』と言われたら、出て行かなくてはいけませんし、桜の木やお花も退けなくてはなりません。
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抵当権者から了解を得られない売買とは?
今回の債務者の陳述で気になるのは、隣地の所有者で、桜の木を植えていた占有者Aさんに対して本件土地を売却しようとしたときに抵当権者の了解を得られなかったという点です。
抵当権者の了解を得られないというのはどういう状況なのでしょうか。
まず考えられるのは、抵当権の金額に対して、売買代金が少ないというケースです。
それでは、せっかく担保を取った意味がありませんからね。

そう考えると、最初は、可哀想な占有者だなぁと思っていましたが、
- 事後承認されたにせよ、無権限で使用した(しかも無償で)
- 抵当権者の了解が得られないような値段で買おうとした
などなど、競売で明け渡さなくてはならないとしても、『怒りを隠せません』と言い切れるほどの立場ではないような気もしてきますw
比叡山からもらった桜?
最後に、陳述の中で個人的に気になったのは、桜の木が比叡山からもらったものであるということです。
比叡山は、京都府と滋賀県の境にある山で、天台宗の総本山である延暦寺など歴史的・文化的にも非常に有名です。
実は、桜の名所としても知られていて、関西地方では珍しくゴールデンウイーク頃に見頃を迎えるそうです。
ゴールデンウイークに桜を見たいと思ったら東北・北海道に行かなくてはいけないと思っていましたが、関西でも見られるところがあるんですね!
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