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事件概要
沖縄の競売物件をチェックしていると、軍関連の土地が出ていることがあります。
以前も、軍用地の競売物件を取り上げた記事を書きました。
軍用地は自己使用ができませんから、収益目的のみで取引される特殊な土地であることが分かりました。
さて、今回の物件は一部返還された普天間飛行場の土地。

『沖縄防衛局に賃貸してアメリカ軍の基地(普天間飛行場)として提供されていましたが、一部は返還されました。
返還された土地は、全部宜野湾市道として利用されることになっています。』
『地目は墓地ですが、墓はありません。』
『宜野湾市から、返還された土地の買収話がありますので、早く分筆して売却したいと思っています。』
この記事では、この事件を深掘りしてみようと思います。
普天間飛行場の一部返還
まずは、普天間飛行場についておさらいしておきましょう。
普天間飛行場(ふてんまひこうじょう、英: Marine Corps Air Station Futenma)は、日本の沖縄県宜野湾市にある在日米軍海兵隊の軍用飛行場。通称は普天間基地(ふてんまきち、MCAS FUTENMA)。2,700mの滑走路を持ち、嘉手納基地と並んで沖縄におけるアメリカ軍の拠点となっている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AE%E5%A4%A9%E9%96%93%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E5%A0%B4
現在、普天間飛行場付近は、那覇市のベッドタウンとして発展しています。

空中写真を見ると、周囲にびっしりと住宅が立ち並んでいることがわかりますね。
訓練中の墜落事故などが取り沙汰されるのも、このような環境があるからです。
普天間飛行場については、1996年に日米が全面返還で合意していますが、現在でも完全な返還は達成されていません。

度々、メディアでも話題になりますよね。
個人的には鳩山由紀夫元首相が迷走していた頃を思い出します。
詳しい経緯はWikipedia等を参照してご自身でお調べください。

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市道として利用される予定
そして、今回の物件は、平成28年9月6日に宜野湾市道11号線の区域に決定となり、平成29年7月31日に返還されています。

宜野湾市道11号線は、令和元年6月時点で、同年12月の供用開始を目指し、用地買収は80%、工事は10%程度終えていたとのことです。
また、宜野湾市は『適正価格にて買収予定』とのことですが『買取予定価格を明らかにすることはできません』と陳述しています。


宜野湾市に売却する予定の土地を買うわけですから、入札する人の立場からすると気になるのは買収価格ですね。
市に対して値段の交渉をできるのか分かりませんし、『逆ザヤ』なんてことになってしまっては、元も子もありません。
ちなみに、競売の評価額は『9,720,000円』です。



いかがでしたか?
沖縄県外の人にとって、軍用地はあまり馴染みの無い存在だと思います。
やはり、国や米軍が関連する土地なので、通常の物件よりも、使用したり譲渡したりする際に厳しい制限がかかる可能性があります。
それゆえ、単純な利回りで判断するのは危険だと思います。
一方で、そういった不安から敬遠する人が多いことも事実なので、きちんと情報を整理して、責任を持ってチャレンジするいう人は、大きなチャンスを掴むことになるのかもしれません。
墓のない墓地?
最後にオマケのお話。
この物件は、登記上の地目は『墓地』になっているそうです。
しかし、ご覧の通り、墓らしきものは一つも見当たりません。
まさにこれから道路ができそう、といった感じの雰囲気。



これはいわゆる『登記に公信力がない』という話ですね。
地域によって地目が制限されたり、地目によって取引が制限されたりすることがあるため、不動産にとって登記というのは非常に重要なのです。
地目を登記することで、社会全体で正確な不動産の情報を共有し、適切に取引が行われ、利用することができるわけです。
ところが、時々、現実と登記情報が異なる場合があります。
その時に『登記の情報は必ずしも正しくないよ』というのが『登記に公信力がない』という意味です。
しかし、第三者に権利を主張するときには登記の情報を元に行います。
これを『対抗主義』といい『登記に公示力がある』ということです。

今回のケースでは、おそらく、基地として利用される前に墓地があったのでしょう。
そして、所有者も地目を変更することなくずーっと貸していたんだと思います。
予想ですが、道路建設を機に、地目変更が行われてしばらくしたら『公衆用道路』にでもなるんだと思います。
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