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事件概要
最高の眺望のマンションです。
『このマンションを建設するときに、私が携わったので目的物件を購入することになりました。』
『此処は、最上階で琵琶湖の眺望が良く、8月の花火などは最高の景色です。』
『私は、賃料を支払っても、此処に住みたいと考えています。』
債務者に住み続けてもらう?
今回の事件のように、債務者が物件に対して強い思い入れを持っている場合、家賃を払ってでも住み続けたいというケースはあるようです。
買受人としても、競売の難しさである「明渡請求」「残置物処理」「入居者募集」が一気に省けて、すぐに家賃収入を得られるので、魅力的に感じるかもしれません。
私自身も過去の記事に書いたように、入居者のいる物件を落札して、すぐに収入を得るのが良いと考えています。
しかし、債務者あるいはその家族が住み続けたいと言っている場合、注意が必要かもしれません。
というのも、その物件が競売されているということは、抵当権を実行された、ということですから、何らかの債務不履行の経験があるためです。
買受人が、どの程度の家賃に設定するかにもよりますが、抵当権の被担保債権(※)よりも家賃が上回ることだってあるわけです。
被担保債権とは、担保の対象となっている債権のことです。抵当権で最も多いのは、住宅ローンなどの物件購入費用に関する融資でしょう。
したがって、一度払えなかった金額を、これから払えるようになるかというと、それも疑問です。
可能であれば、どのような経緯で抵当権を実行されたのか、調べてみる必要があると思います。
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どうしても住みたいというのは、良い物件ということ!
ところで、話は変わりますが、今回の債務者の発言は、個人的に非常に興味深いと思いました。
一度、所有者になった人間というのは、『家賃を払う』ということをしたがらないものです。
にも関わらず、家賃を払ってまで住み続けたいということは、魅力ある物件である可能性が非常に高いです。
今回の事件では、執行官も『部屋や屋上(ルーフバルコニー)からは、添付写真のとおり琵琶湖の眺望がとても良い部屋であった』と述べていますし、この近辺では他にはない素晴らしい眺望があるのでしょう。
誰かが強く欲しいと思うものは、他の人も欲しくなる可能性が高いです。
したがって、この債務者に貸すことがなくても、十分、需要があると思います。
競売の資料を読んでいても、執行官が物件を褒めるということはあまりありません。
そんな中で、わざわざ『眺望がとても良い』と記載したからには、執行官にも魅力的に感じたのでしょう。
そう考えると、落札後、債務者に対しては、納得のできる利回りを確保できるよう、ある程度の強気な家賃交渉をして良いのではないでしょうか。
世の中、惚れた方が負け、ですね。
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