- 農地を競売で落札するには、事前に農業委員会の許可が必要
- 市街化区域内の農地は例外で、届出のみでOK
- ライバルが少なく、落札しやすいかも
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事件概要
農地を含む土地と建物の一括競売です。



物件自体に、これといった特徴はありませんでしたが、農地の扱いについて学ぶのに最適だと思いましたので、紹介したいと思いました。
農地を競売で取得するには?
競売資料をBITから探す際に、農地には★印を付けられ、別枠で掲載されています。

一体なぜでしょうか?
農地は、国内の食糧自給に直接的な影響を与えるため、売買や農地以外の目的に転用することが農地法で制限されています。
競売での取得について理解するためには、農地法の3条許可・4条許可・5条許可について押さえておく必要があります。
- 3条許可:農地を農地のまま権利を移動する
- 4条許可:農地を農地以外に転用する
- 5条許可:農地を農地以外に転用して権利移動する
権利移動は、売買・賃貸などをイメージしてください。

3条許可 + 4条許可 = 5条許可 というイメージですね。
従って、競売で農地を落札するためには、原則、3条許可か5条許可が必要になります。
これらの許可を得ずに権利移動や転用をすると、
- 個人:3年以下の懲役または300万円以下の罰金
- 法人:1億円以下の罰金
という重い罰が待っています。
では、許可はどこがするのか?
答えは農業委員会です。
例えば、3条許可の場合、就農経験や営農計画などを提出し、審査してもらいます。
しかも、入札までに許可してもらい、買受適格証明書をもらう必要があるので、注意が必要です。
早めに農業員会に足を運び、競売に入札したい旨を伝え、必要な書類について確認しましょう。
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市街化区域内の農地は届出のみでOK
ところが、例外もあります。
市街化区域内の農地転用は、農業委員会への届出のみでOKなのです。
というのも、市街化区域は、市街化を推進するべき区域なので、農地を減らすことは市街化区域の目的に沿った行為であるためです。
今回の物件について、資料をよく読んでみると、市街化区域内であることがわかります。

今回の物件に関しては、農業委員会が現況を「宅地もしくは雑種地」と陳述していますし、3条許可を得るよりも、5条届出で攻めた方が取得は容易でしょう。
市街化区域内の農地はスルーする人が多い→ライバル少
不動産競売には一括競売という制度があり、一帯の土地と建物は、便宜上、まとめて競売されることが多いです。
従って、建物や立地が魅力的なのに、農地を含んでいるために、★印の農地の枠で掲載されている物件もあるかもしれません。
今回の物件が欲しいかどうかは別として、「農地だから」というだけで見るのを飛ばしてしまう人も多いのではないかと思います。
競売は、ライバルが少ないほど、安い価格で落札できる可能性が高いですから、少資金の投資家にもチャンスが巡ってくるかもしれません。
市街化区域内に位置して転用が容易という場合もあるということを覚えておくと、思わぬ掘り出し物件に出会えるかもしれません。
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