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事件概要
事件自体は、特に変わったところのないものです。
お弁当屋さんを営む占有者に賃貸しているというものです。
競売に限らず、オーナーチェンジの物件で、テナント物件を購入する際に気になるのは、このテナントはこれからも営業し続けるのか?ということかと思います。
この記事では、その一つの判断基準と考えられるポイントを解説したいと思います。
サンクコストあるいはコンコルド効果について
サンクコストという言葉を聞いたことがありますでしょうか?
サンクコスト(sunk cost)は、日本語では埋没費用と訳される概念で、過去に費やしたものの取り返すことのできない資金や労力のことです。
事業や投資の例で説明してみます。
(例1)
莫大な予算を掛けて立ち上げた新規事業が、市場の大きな変化で鳴かず飛ばず。
投資した初期費用を回収するため、赤字のまま事業を続けている。
(例2)
貯金の大半をつぎ込んで株式投資を開始!
損が出てしまっても、その銘柄で取り返そうと追加買い(ナンピン買い)してしまう。
このように、どうにかこれまでにつぎ込んだお金や時間(=サンクコスト)を取り返そうと思うのが人間の心理です。
しかし、合理的に行動するならば『どれだけの投資をこれまでしてきたのか』は一旦忘れて『これから儲かるかどうか』だけで判断するのが正解です。
ところが、これができない。
サンクコストを取り返したいという心理のことを『コンコルド効果』と呼ぶこともあります。
コンコルドというのは、イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機なのですが、この開発においてサンクコストを回収したいという心理が働き、撤退の判断が遅くなったと言われています。
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退去しにくいテナントとは?
ここまで経済学的には誤りであるにも関わらず、『サンクコストを取り返したい』という心理を人間は抱きがち、ということについて説明してきました。
この心理的誤謬は、当然、物件を借りて営業しているお店の店主も陥ってしまいがちです。
大家としては、これを利用しない手はないです。
つまり、『最初に費用をかけさせることで、退去しにくくしてしまう』という作戦が考えられます。
例えば、内装です。
内装に力を入れて開業したお店は、撤退するのを躊躇います。
通常の動産と違い、持っていくことができませんからね。
逆に言うと、居抜きで開業した場合、躊躇なく閉店、ということもありえます。
今回紹介した事件についても、陳述書からこのような心理が読み取れます。
120万円かけて店舗に改築していることが読み取れます。
オーナーチェンジ で物件を購入する際には、内装や増築などを負担したのは誰なのかを確認することは非常に重要だと思います。
一番良いのは、商売繁盛してもらうことですが、万が一のことも考えなくてはいけないのが投資家ですから、少しお店が傾いたとしても頑張って続けてくれる店子さんの入っている物件を探してみるのも悪くないと思います。
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